誰もが必ず何度も感じたことのある感覚に「孤独感」があります。
「自分は一人だ」と感じるような時、どんな対処をしていけばいいのでしょうか? 今回はこの「孤独感」について、孤独感の強い人が持つ特徴や心理的原因、解消方法について詳しくご紹介していきます。

孤独感に苛まれるときがありませんか?
ふっと我に返った時、「ああ、自分は結局1人なんだな…」と孤独感に苛まれることはありませんか? プライベートで傷つけられた時、仕事でミスやトラブルを起こしてしまった時にどうしようもなく苦しく感じてしまう「孤独感」。この感覚に対して、どうやって対処するのたベストなのでしょうか。 今回はこの「孤独感」にフォーカスして、詳しくご紹介していきます。
孤独感とは?
孤独感とは、簡単にいうと「自分は一人である」という感覚です。人間は社会性を持ち、他者と協力することで日々を過ごしていくという本能的な傾向があります。 その本能が満たされないと、強い孤独感を感じます。誰にも必要とされない、誰も自分を気にかけてくれない…これは人間にとって非常に大きなストレスとなります。 そのため、人間は無意識のうちでこの孤独感を回避しようとします。それが、様々な行動や考え方へと繋がっていくのです。
孤独感と似た感情
孤独感に似た感情として、「疎外感」や「不安感」があります。どういった違いがあるのか覚えておくと自分が今感じているのがどんな感情なのか、とらえやすくなります。 疎外感とは、自分には信じられる味方や仲間がいない、または他者で構成されているグループから排除されていると感じる心理状態の1つです。 もう1つの不安感は、心理的にいうと「対象が存在しない恐れの感情」が取れないことを指します。「対象が存在する恐れの感情」になると「恐怖」という表現に変化します。微妙な言葉の違いですが、対象が存在するかしないかで意味が大きく変化しますね。
「孤独」と「孤立」の違い
他にも似たような言葉として「孤立」があります。孤立の意味は「一人だけ他人から離れ、繋がりや助けのないこと」です。 この「孤独」と「孤立」の違いは、「能動的」か「受動的」かです。 孤独は「自分から進んで(能動的に)」他者から離れています。人間関係に疲れてしまった、多くの人の影響を受けすぎてストレスが蓄積してしまった…そういった時に「孤独」になって「誰にも必要とされていない」「自分を気にかけていない」とあえて感じることによりストレスを軽減させます。 一方の孤立は「自分から進まず(受動的に)」他者から離されてしまいます。仲間外れにされる、他者から敬遠されてしまい、望まないまま一人になってしまうのが「孤立」です。 時々「孤独を楽しむ」という言葉を見かけますが、「孤立を楽しむ」とはいいません。孤立は、自分から望んだ状態ではないので、そもそも楽しむものではないということです。
孤独感の英語表現は?
孤独感を英語で表現する方法は2つあります。1つは「feel lonely」、もう1つは「feel isolated」です。 feel lonelyは和訳すると「孤独を感じる」や「寂しい気持ち」となります。 feel isolatedも和訳すると「孤独を感じる」となりますが、その他にも「孤立している」「隔離されているような気分になる」等多種な意味合いとなります。使い分けが必要ですね。
孤独感が強い人の特徴
孤独感が強い人というのは、どういった特徴があるのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。
特徴1:他人とのコミュニケーションが苦手
孤独感の強い方に多いのが、他人とのコミュニケーションが苦手、または苦手意識を持っている方です。 孤独にならないためには、人の輪に入っていかなくてはなりません。その輪の中で上手くやっていくためには、どうしてもコミュニケーション能力が必要です。 コミュニケーションが苦手だと人の輪の中で上手く会話に入ったり、自分から会話のやり取りを作るきっかけ作りができません。 かといって一対一のような関係性でも、会話が続かなくて気まずい時間が流れたり、反対に相手の意にそぐわない会話をしてしまったりして、相手に悪印象を与えてしまいます。 これを続けていると、自然に会話をしてくれる人が減っていき孤独感を強く感じるようになってしまうのです。
特徴2:ネガティブな思考が強い
物事をネガティブにとらえる思考が強いのも、孤独感が強い方の特徴です。 友人や知人のちょっとした会話、コミュニケーションを深刻に受け止め、深く考えすぎていることが多いようです。「自分はどうせ邪魔者」「いない方がいい存在」とネガティブにとらえます。 確かに、マイナス思考に考えておけば傷つくことは少なくなります。しかし、他者が考える意図や意味を自分が完全に把握することはできません。 相手の行動や会話、考え方は受け取る側によって多彩に変化します。受け取る側の心理や環境によっても大きく変わってくるでしょう。 ネガティブな思考はポジティブな思考をするより簡単な分、孤独感は強くなっていきます。孤独感が強くなるとさらにネガティブ思考に陥っていく…という負のスパイラルになってしまい、抜け出せなくなってしまう特徴があります。
特徴3:「条件付きの愛情」しか信じられない
孤独感と愛情は深い関連性があります。愛情を感じられれば孤独感は弱くなりますが、感じられなければ孤独感はどんどんと強くなっていきます。 孤独感の強い方は「無条件の愛」をなかなか感じられません。幼少期から「○○ができれば良い子」「○○ができる子が大好き」という条件のついた愛情しか与えられないことが多いようです。 つまり、その「条件」がなければ愛されない、愛される資格がないと思い込んでいます。 他者に対する愛情はもちろん、自分が相手に与える愛情も「条件つき」かつ「限定的な」愛情だけになってしまいます。 この条件付き、限定的な愛情は必ずどこかで消えてしまいます。その条件がいつまでも自分や相手に付属していることはまずないからです。 相手を探したり求めたりすることすら億劫になり、さらに孤独感が強くなるという傾向があります。
特徴4:自分に自信が持てない
他者とのコミュニケーションが苦手だったり、ネガティブ思考が強い、愛情への感受性が弱い…これらは全て、自分自身に自身が持てないという原因に繋がります。 自分が他人よりも劣っている、コンプレックスが強いと人はプライドが非常に高くなります。自分に自信がないから、理論武装をしたり「他者とは違う特別な自分」を演じて自分の自信のなさを無意識にカバーするのです。 これを続けると、当然ながら人から愛されたり大切にされることはありません。「屁理屈をこねまわす」「プライドだけが無駄に高い」という評価になり、人を遠ざけてしまいます。 結果として孤独感が強まり、さらに自分の殻に閉じこもる…というケースも多く見られます。
特徴4:物事の視野が狭い
孤独感の強い方は物事の視野が非常に狭く、偏った考え方しかできなくなってしまうことが多いようです。 心理学では「心理的視野狭窄(しやきょうさく)」と呼ばれます。極度のマイナス思考や極端な思考しかできない状態になり、相手の気持ちや行動の意味を全て「悪意あるもの」としか見えなくなってしまいます。 この心理的視野狭窄の状態だと、どれだけ相手が自分のためにしてくれたことでもそれが何かの見返りを求めている、あるいは裏に何かあるのではないかと疑い心から相手を感謝し、信じることができません。 どれだけ善意を持って接しても反応が返って来なければ、人は自分の元から去っていきます。その状況が、さに孤独感を強め、心理的視野狭窄の幅を狭めていくのです。
特徴5:社会との接触を拒む・最低限に抑える
孤独感から脱出する手段として最初に思い浮かぶのは、社会との接触を多く、長く持つというのが思い浮かぶかもしれません。しかし、元々孤独感の強い方はこの手段すら非常に苦痛です。 コミュニケーションが苦手で、しかも他者が心から信用できない。そうなってしまうと、社会との接触はストレスでしかありません。 しかし、社会との接触を絶てば絶つほど、孤独感は強くなっていきます。SNSで繋がっているのすら面倒になり、全てのコミュニケーション手段を消してしまう方もいます。自宅から一切外に出ず、社会との接点を持たず、コミュニケーションを取るエネルギーも持たない…。 このような状況下に置かれている方を「引きこもり」と呼びます。孤独感の強い方ほど社会との接触を拒み、引きこもりになりがちです。
特徴6:「おひとりさま」が苦手・嫌い
特に女性はこの傾向が非常に強いといわれています。女性はグループでの行動や活動に意義や意欲を見出すからです。学生の頃の行動に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。 今では1人でもカフェやレストランに入る「おひとりさま」が認知されるようになってきたものの、いまだに「1人でカフェやレストランに入るのが恥ずかしい」という方もいます。 これは、周囲からの「評価」を気にする方に多く見られます。1人でいるところを見られて「寂しい人」「友達のいない人」と評価されるのが怖く、1人で行動することができなくなります。 実際には誰が何人とどんな風に過ごしていても、知らない他人を気にしている方はそう多くないでしょう。それでも、とにかく「気になってしまう」。そしてその環境に置かれている自分を感じて、さらに孤独感を強めてしまうようです。
孤独感を抱く原因
ここまで、孤独感を強く持ってしまう方の特徴についてご紹介してきました。では、どうしてそこまで強く孤独感を抱いてしまうのでしょうか? その原因を探っていきましょう。
心理的原因1:見捨てられ不安が強い
「人は必ずいつかは離れていく」「仲の良い友人でも必ず自分を見捨てる」という心の奥深くに根付いた心理があることを「見捨てられ不安」と呼びます。臨床心理学における専門用語の1つです。 LINEの返信がすぐ来ない、自分だけ集まりに誘われなかった、恋人が別の異性と会話していた…このように自分の想像通り、理想通りに相手が動いてくれないと「試し行為」と呼ばれる行動をして愛情を確かめようとします。 この見捨てられ不安の状態が強いと、相手を攻撃してでも確かめようと過激な行動を取ってしまうこともあるのです。LINEのメッセージを繰り返し短時間で送り続けたり、電話を何回もかけたり…思い当たる節がある方もいるのではないでしょうか。 この行動は、安定した人間関係を築けません。常に確認し、確かめ、想像通りの行動を取ってくれる人はまずいないからです。 交流を深めた相手が自然と離れていき、孤独感を抱いてしまう原因となります。
心理的原因2:承認欲求が強い
「他人に認められたい」「自分と関わりのある人に必要とされたい」という心理的欲求を「承認欲求」と呼びます。人間の欲求の中でも基本的なもので、誰もが持っている欲求です。 ただし、この欲求が強すぎると他者からは遠ざけられ、否定されてしまいます。承認欲求は基本的に「自分をもっと構って欲しい」という願望です。自分が満たされるための欲求は、相手の状況や環境まで考慮できなくなってしまいます。 「周りの人間を考えない人」は付き合いづらく、敬遠されてしまうでしょう。自分を見て欲しい、構って欲しい、知って欲しいと思えば思うほど孤独感が強まっていく。皮肉なことですが、この心理を持つ人は非常に多いのが現状です。
心理的原因3:思い込みや被害妄想が激しい
見捨てられ不安とセットで原因として考えられているのが、この思い込みや被害妄想の激しさです。 LINEの返信が来ないのは、嫌われたからなのかもしれない。友達から誘われなかったのは、自分が避けられているからかもしれない。恋人との都合が合わないのは…と考え始めたらキリがありませんよね。 相手が実際にどう思っているかはあまり関係ありません。あくまでも自分自身のマイナス思考やネガティブな考え方が原因で起こるのが、思い込みや激しい被害妄想です。 そのため、例え相手が「そんなつもりはなかった」と弁解しても信用できず「やっぱり嫌われたんだ」と思い込んで一方的に態度を変えてしまうのです。 これを繰り返していると、やはり孤独感は強まっていくでしょう。誰からも相手にされなくなってくるからです。
孤独感診断!あなたは孤独感を抱いている?
さて、あなたは実際今孤独感を抱いているでしょうか? 簡単にチェックしてみましょう。 1.多くの人と交流がある 2.自分を含めた人の心をある程度理解できる 3.趣味や仕事といった共通点を持っている友人や知人がいる 4.古くからの人間関係をしっかり維持できている 5.見知らぬ人がいても、上手くコミュニケーションを取って溶け込める 6.自分の悩みを打ち明けられる人がいる 7.困った時に相談し、一緒に解決してくれる人がいる 8.雑談や気楽な会話を楽しめる相手がいる 9.自分を愛し、認めている 10.ある程度1人でいることに慣れている、抵抗がない 5個以上当てはまっていれば、それほど酷い孤独感を抱いていません。 4個以下の場合は少し注意が必要です。
消えない孤独感を改善できる?孤独感の解消方法
これらの孤独感を改善するには一体どうしたらいいのでしょうか? 簡単にできる改善方法や解消方法をご紹介していきます。
方法1:何でも話せる大切な存在を一人作る
「この人なら大丈夫」という大切な存在を作ってみましょう。複数作る必要はなく、1人で十分です。できれば恋人や親友といったポジションで1人作っておくと心の拠り所になります。 ただし、見捨てられ不安からくる試し行為はできるだけ行わないこと。これを行うとせっかくの存在もあっという間に離れていってしまいます。
方法2:他人との比較をやめ劣等感を手放す
「他人は他人、自分は自分」という意識を強く持ちましょう。他人と比較し、劣等感を手放すと効果的です。 これは非常に難しい部分があります。劣等感は長い時間をかけて形成されたものであり、自分の考えを覆すのと同じぐらい抵抗感があるはずです。 その分、一度手放してしまうと想像以上の解放感があります。時間のあるときに意識して取り組んでみましょう。
方法3:打ち込める趣味・仕事を探してみる
孤独感を感じる時間は限られています。考える時間があったり、家でぼんやりと1人でいる時間等です。その時間を意図的に減らす努力をしてみましょう。具体的には打ち込める趣味や仕事を探してみることです。 特に趣味は自分の時間を有意義に使うのにも、考える時間を減らすのにも有効です。孤独感を軽減し、人生を充実したものにするためにも、ぜひ楽しい趣味を見つけてみて下さい。
方法4:「おひとりさま」を体感し、楽しんでみる
近年「おひとりさま」でも入りやすいカフェやレストランが多くなりました。最初は抵抗があるかもしれませんが、一度入ってしまえばなかなか楽しいものです。そんなおひとりさまでも楽しめるカフェやレストランを探してみましょう。 お勧めは夕方からオープンしていることの多いバーです。アルコールを楽しみながらバーテンダーと会話ができ、1人の時間をゆっくりと落ち着いて過ごせます。お気に入りの場所を1つ見つけておくと、孤独感を解消する、安心できる場所になります。
方法5:ペットを飼ってみる
環境が許すのであれば、ペットを飼ってみるのも有効です。「アニマルセラピー」というジャンルがあるほど、動物には癒やしの力があります。犬や猫といったペット達は、孤独感を癒やし、飼い主にエネルギーを与えてくれる存在です。 責任を持って飼育する必要がありますが、それに見合う大きな心の支えになります。お勧めの手段です。
方法6:自分で自分を認め、安定した人間関係を築く
見捨てられ不安や思い込み、被害妄想の激しさからくる人間関係のトラブルを解消するだけでも、孤独感は大幅に軽減できます。 まずは自分で自分を認めることです。自分は「存在していい」「周囲から愛される」人間であると認識してみましょう。これだけで、試し行為を行う必要はなくなります。 存在していいのであれば周囲に存在価値を確認しなくてもいいし、周囲から愛されているとわかれば攻撃する こともありません。 この部分は心理的視野狭窄の解消においても効果的です。焦らずゆっくり、実践してみて下さい。
方法7:会話力・雑談力を伸ばす
会話する能力、雑談力は人間関係を構築する上でなくてはならないものです。そのため、会話や雑談に対する苦手意識をなくすのも有効な手段です。どんな孤独感の解消法も、この会話力や雑談力を伸ばさない限りは行き詰まってしまいます。 この会話力や雑談力を伸ばす方法を「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」と呼びます。より良い人間関係を築くための会話方法を学ぶものです。 書籍やネットから取り入れたり、思い切って講座を受けてみるのもいいでしょう。自分に負担のない方法でSSTを取り入れてみると、孤独感の解消に大きく貢献してくれますよ。

職場で孤独感を感じたら?仕事における孤独感の解消方法
プライベートでの孤独感は多くの解消法があります。しかし、それよりもダメージが大きいのが仕事における孤独感です。精神的がダメージが大きく、生活に差し障ることもあるでしょう。 ここでは、職場や仕事における孤独感の解消方法をご紹介していきます。
方法1:信頼関係を構築する
仕事における孤独感の解消は限られています。人間関係の選択が基本的にできないからです。上司や部下、同僚を選んで仕事をすることはできません。 そのため、何よりも信頼関係を構築することが最も大切です。仕事で必要なのは会話や雑談力ではありません。速やかに問題を解決し、円滑に仕事を進めることです。 積極的に他者を助ける、困った時にはお互いに手を差し伸べ合う信頼関係を構築することで「困った時に助け合える」関係性が築け、孤独感の解消になります。
方法2:謙虚な気持ちと相手に対する配慮を忘れない
仕事でのミスやトラブルに対処するとき、どうしても相手に原因を求めてしまいます。「誰に責任があるのか」を明確にしなければならない会社組織では、自分が責任を負いたくないのは当然でしょう。 しかし、ここで必要なのが謙虚さと相手に対する配慮の気持ちです。本当に自分に責任はなかったか?相手に負担をかけすぎていなかったか?様々な視点から問題を見ることで、責任を他者に押しつけるだけでは孤独感の原因になってしまうことがわかってくるはずです。 しっかりとした信頼関係、そして相手を思いやる気持ちがあれば、ミスやトラブルのフォローと共に孤独感の解消も可能です。社会人としての基本的な部分をこの機会に見直してみましょう。
「孤独感」と上手く付き合えば、人生が豊かになります!
孤独感は誰しもが必ず持っている感覚です。どんなに楽しい時間でも、終わってしまえば孤独感を味わうかもしれませんし、ふとした瞬間に突然「自分はどんなに頑張っても孤独だ」と感じるかもしれません。 そんな人とは切っても切り離せない孤独感を完全に消すことはできません。それなら「上手く付き合ってみる」という意識を持ってみると、人生の豊かさが一気に変わってきます。
今は孤独感を感じるけど、「おひとりさま」を楽しんだら孤独感が解決できた。 孤独感で悩んでいたけれど、職場で信頼関係を構築したら頼もしい味方が見え、孤独感が解消された。 上手く付き合い、その都度解決していけば孤独感は決して怖いものでも逃げなければならないものでもありません。 孤独感を感じた時は存分に孤独や寂しさを味わい、解消できた時はその喜びを存分に楽しむ。そんな日々の彩りが、いずれ素敵な経験になり、素敵な人生の糧となるのかもしれませんね。
